「画文集 花の肖像」 串田孫一・太田洋愛

本・雑誌

中学生時代、私は生物部に入っていた。
顧問の先生は和気先生、今では詳細なプロフィールは忘れてしまったが植物についての研究をされていたと記憶している。その生物部で「香川県の帰化植物図鑑」を制作することになった。

手書きで花の描き説明文章を書く「手作り図鑑」で、私が書いた最初の花は確か「オシロイバナ(白粉花)」、そして「セイタカアキノキリンソウ」だったと思う。残念ながら出来上がった図鑑は今は手元に無い。

或る日、本屋に立ち寄った際にふと手にしたのが表題の「画文集 花の肖像」。手にした理由は憶えていないが本の開いたときの印象は「あ、一緒だ!」といった驚きだったと思う。本には「写真」ではなく「手書きの花の絵(花の肖像)」と、花にまつわる短い文章が見開きページに書かれたもので、肖像は「カラー版」もあれば「白黒」もある。その肖像を観たときに中学時代に書いた花々の手書きの絵を思い出した。

花の肖像画は太田洋愛によるもので、文章は串田孫一が書いている。

肖像画もとても素晴らしく、どの花も活きていると感じる。されど華美に書かれたものではなく、自然のままに書かれ本の中で活きていると感じられる。写真でないことがより愛情を感じる。

串田孫一の文章も面白い。「花」そのものを表す言葉もあるが、ちょっとした花にまつわるエピソードや花の周囲で起こる出来事をひょうきんに(?)に書いたものもおおく、読みながら何時しか笑顔になっているときがある。

この本を買った時の年齢は憶えていないが、第一刷が昭和54年なので私が24歳以降に買ったことになる。最初に買った本は友人にさし上げたので、いま手元にあるのは中古本。さし上げた方には申し訳ないが手元に残しておけばよかったと少しだけ後悔している。

私の書架にある大好きな本の一つ。良いめぐりあわせだったと思う。

※オシロイバナ(白粉花):オシロイバナ(白粉花、白粧花; 学名: Mirabilis jalapa)は、オシロイバナ科の多年草または一年草である。南アメリカ原産で江戸時代始めごろに渡来。花が美しいため観賞用に栽培されるが、広く野生化もしている。(Wikipedia)

※セイタカアキノキリンソウ:「北アメリカ原産の帰化植物で、キク科の多年草です。背丈は1~2.5m前後でくきは直立し、下部は褐色を帯びています。

タイトルとURLをコピーしました