後楽

カフェ・レストラン

麹町に有った鮨の名店「後楽」

私が1990年頃から四半世紀通い続けた鮨店。

麹町駅近くは別館。 本店は四ツ谷駅近くにあった。

初めて訪れたのは別館。 あるビルの奥まったところに小さな入り口があり、その横に看板があった。

目立たないビルの一階にあるが、つい前を通り過ぎてしまうことが何度もあった。

中に入ると大きなL字のカウンターと背中側に幾つかに仕切られた個室があった。 店に入るには靴を脱ぎ座敷に上がりこむようになっていた。カウンター席に座ると目の前で板前さんが握っている。

多くの寿司屋では、カウンターの目の前には様々なネタが並び、板前さんの背中には品書きがズラッとならんでいると思うが、この店は違う。ネタはカウンターからは全く見えず、お品書きは一切無い。

だから値段も判らなければ、何のネタがあるのかも判らない。

だからという訳ではないが、いつも「おまかせ」コースを注文する。

最初に当日のお勧めネタを刺身でいただく。 頃合いを見て板前さんが「そろそろ握りますか?」と声を掛けてくれるのがいつもの流れ。

刺身は一切れ一切れがしっかりと盛り付けられ、どれを食べてもしっかりとした噛み応えと旨味が口の中一臂にひろがる。

握りはいつもお決まりのコース。 当日のお勧めが追加されたりはするが殆ど変わらない。

特にうまいのがマグロの中トロの握り、穴子、ウニ、そしてシマアジ等々。 私はしめ鯖の握りが大好きだったので、黙っていても必ず握ってもらえた。

最も珍しいものは「生」のトリ貝の握り。

トリ貝は通常茹でたものを握ることが多く、美味しく感じたことは一度も無かったが、初めて食べた「生の」トリ貝の握りは、コリコリとした歯ごたえと微妙な海の香りのする貝の旨味があり、一度で虜になった。

ウニも大好物だった。 軍艦巻きの体で出されるが、軍艦のサイズには収まらない。いわば大盛り状態。そして、口の中に拡がるウニの甘味のある味が最高だった。

写真では伝えられないのウニの握り

穴子も格別だった。長い時間丁寧に煮込んだ穴子を握ってくれるのだが、そっとつままないとボロっと崩れてしまうくらい、ぎりぎりの状態まで柔らかく煮込んでいる。つめもおいしく、口に入れて噛もうとした瞬間にもう口いっぱいに穴子が拡がる。笑ってしまうほど柔らかくて美味かった。

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